バイリンガルナース ローラのブログ

ナースの仕事、健康管理、プライベートのことなど、自由気ままに語るブログです。

クレーム対応から学んだこと

「点滴まだ?10時に始めるって言ってたのに。」

「となりの人のいびきがうるさくて寝られないよ。何とかしてくんない?」

「先生に確認しますって何だよ。ねぎらいの言葉もなく。こっちは苦しい思いしてんのに。」

などなど、長年看護師をしていると、患者さんからのクレームは多々あります。

点滴が遅い、薬を持っていくまでに5分かかったなど、その数分待つのも辛い、イライラしてしまう。


健康な時ならば余裕があり、許せることも、病気になると、その痛みや辛さからストレスを感じ、自分の感情をコントロールできなくなる。


また、入院生活により社会との繋がりが一時的にでも遮断されてしまうその環境から、孤独感や焦りを感じ、いつもなら平気なことでも、医者や看護師のちょっとした一言で不安になってしまうこともあると思う。


自分も入院したことがあるので、その気持ちはすごくよくわかります。


こっちは苦しんでいるのに、点滴早くしてって言ってるのに、何度同じことを言わせるんだろう。


忙しいのはわかるけど、もうちょっとねぎらいの言葉があってもいいんじゃない?


とか、やはり患者の立場になるとわかることがあります。


看護師側からすれば、一人で10人以上も患者さんを受け持っている上に、夜間の人手が少ないなか3人も入院があり、急変もあり、またナースコールも頻回で、とてもじゃないけど、1人の患者さんの話をずっと聞いている時間がないことも多々ある。


ナースコールが鳴っても、すぐに行かれないこともある。


クレームが、明らかに言いがかりのようなものもあり、それは間違っていると言いたいこともある。


それぞれの立場になってはじめて、相手の気持ちがわかります。


クレーム対応を何度も経験するうちに、
わかってきたことがあります。


それは、クレームを言ってくる人は、
クレームの内容よりも、相手の態度に不満を持っているのだということ。
話を最後までしっかり聞いてくれないとか、ぞんざいに扱われたように感じたとか。


クレームを言われて、相手の話もろくに聞かずに、逆上して言い訳をしていたら、火に油を注ぐようなもの。


まずは一旦相手の話を最後まで聞き、気持ちを受けとめること。


例えば、となりの人のいびきがうるさくて寝られないと言われたら、まずは夜寝たいのに寝られないその状況について、相手の辛い気持ちを受け止める。


大部屋なんだからそれは仕方ないですよで片付けたら、この人は自分の気持ちを何もわかってくれないと思うのは当然。


可能ならば、他の部屋が空いたら移動できるよう手配するとか、それが無理なら、いびきをかく患者さんに、いびき用の鼻に貼るテープを貼ってもらったり。
(それで改善しない場合もありますが)


話をしっかりと聞き、なんらかの対応をとることと、病院の決まりやシステム、設備上できないことはできないということを、誠意をもってお伝えすることが大事だと感じます。

クレームを言ってくれる方はありがたい存在である


私だったら、もう二度と来たくないようなお店に、わざわざクレームを言うのも面倒だから、心の中で、「もう2度と来ないでおこう。友達にもすすめない。」
と思い、もう二度と行かないから。


クレームを言うということは、改善を期待しているし、またそこに行きたいという心理が少なからずあると思う。


クレームを言う患者さんの話を改めてよく聞き、誠意をもって対応すると、逆にその患者さんから信用していただけたり、よくしていただいたことが何度もあります。


クレームはむしろ、企業や組織にとって、よりよく成長したり、ファンを掴むチャンスだと思います。


わかっていても、落ち込むことや、イライラしてしまうことも正直あるけれど。

それも人間だから仕方ない。

色々な人がいるし、色々な人生、考え方、捉え方がある。

自分の芯をしっかり持って、相手の話に耳を傾け、否定しない。

でも間違っていること、筋が通っていないことには決して同意しない。
流されない強さをもつ。


そんな人でありたいと思います。